「ヒゲやすね毛、胸毛がボーボーに生えている体毛が濃い人は、男性ホルモンが多いから将来禿げる可能性が高い」そんな話を耳にしたことがある方は多いと思います。
学生時代に体毛が濃いことで「お前、10年以内に絶対禿げるわ」なんて、友人にからかわれた人もいるのではないでしょうか?
そのように体毛が濃い人が薄毛になりやすいと言われ続けているのは、男性ホルモンの分泌量が多い人は必ず禿げると考えられていたためです。
たしかに男性ホルモンは、世間一般で言われている薄毛の症状であるAGA(男性型脱毛症)と密接に関連しています。しかし、必ずしも男性ホルモンの分泌量が多い人が、薄毛になるとは限らないんですね。
その証拠にヒゲが濃くて、いかにも男性ホルモンの分泌量が多そうな人でも、薄毛になっていない方はたくさんいます。
例えば芸能人を例に挙げると、俳優の山田孝之さんや歌手の平井堅さんなどは、ヒゲが濃く顔の骨格もしっかりとしていることから※、男性ホルモンの分泌量が多いことが予想できます。
※ 男性ホルモンの分泌量は人の骨格の発育にも影響すると言われており、その分泌量が多いほどいわゆる男らしいゴツゴツとした骨格になりやすいです。
しかし、そのお二方は薄毛の傾向が見られないどころか、フサフサな状態をキープしています。ちなみに平井堅さんは40代ですが、それでも毛髪がしっかりとありますので、今後禿げる可能性は極めて低いでしょう。
「じゃあ結局、男性ホルモンは薄毛とは特に関係ないってことなの?」
たしかに、血中にある男性ホルモン・テストステロンは薄毛とは直接的に関係はしません。ですが、テストステロンから生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)は抜け毛の原因になるんですね。
先ほど、男性ホルモンと薄毛が密接に関連しているとお伝えしたのはそのためです。この点については、少しだけお話が複雑になりますので、以下で詳しく解説します。
男性ホルモン・テストステロンから生成されるDHTが抜け毛の原因
私達の血液中には男性ホルモン・テストステロンが存在します。普段、私達が男性ホルモンと呼んでいるのは、このテストステロンのことです。
そして、テストステロンには毛を太くする作用もあるくらいですので、これが抜け毛を引き起こすようなことはありません。
ただし、テストステロンは毛根近くから分泌される還元型酵素5αリダクターゼの作用を受けることで、より活性の強い(強力な)男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)となります。
このDHTはテストステロンの数十倍も活性強いがホルモンであり、そのあまりにも強い働きのせいで、毛を生み出す毛母細胞の活動を弱めてしまうんですね。
そのため、毛母細胞内の男性ホルモンレセプター(受容体)がDHTを受けとってしまうと、毛母細胞は満足に活動できなくなり、抜け毛が起こってしまいます。
これが男性ホルモンDHTが抜け毛を引き起こすメカニズムです。
以上のように、男性ホルモン・テストステロンそのものは、抜け毛とは直接関係しませんが、そこから生成されるDHTが抜け毛の原因になります。これが、先ほど男性ホルモンと抜け毛が密接に関連しているとお伝えした理由です。
なお、DHTの生成する要因の1つである還元型酵素5αリダクターゼは、I型とⅡ型の二種類がありますが、DHTを作りだすのはこれらの内でⅡ型だけです。
そして、毛髪の皮脂腺の中でもⅡ型の酵素があるのは、前頭部と頭頂部だけであり、後頭部には存在していません。AGAが進行しても、後頭部に髪が残っている方が多いのはそのためです。
そのことからも、男性ホルモンDHTがいかに薄毛に強い影響を与える物質であるかがよく分かります※。
※ こちらの項では、いろいろな専門用語が登場したため、頭が混乱したという方もいらっしゃるかもしれませんが、重要な専門用語は以下の3つだけです。内容が分かりにくかった方は、それらを踏まえた上で、もう一度文章を読んでみてください。
■重要な用語
- テストステロン…血中にある男性ホルモン
- 5αリダクターゼ…毛母細胞付近に存在する酵素。テストステロンに作用して、DHTを生成する
- DHT(ジヒドロテストステロン)…非常に強力な男性ホルモンで抜け毛の原因になる。テストステロンと5αリダクターゼから生成される
DHTの生成を抑えるための方法はプロペシアを飲むこと
ここまでにお伝えした内容から、男性ホルモンDHTが男性の薄毛に大きな影響を与える物質であることがお分かり頂けたはずです。では、抜け毛の原因となるDHTの生成を抑える方法はないのでしょうか?
薄毛治療の研究・開発はここ最近で目覚ましい進歩を遂げており、その生成を抑える方法も発見されています。その方法とは、プロペシア(有効成分フィナステリド)を服用することです。
プロペシアに含まれる有効成分フィナステリドは、DHTを生成する要因の1つである5αリダクターゼの働きを抑えます。そのため、たとえ男性ホルモンの分泌量が多くても、DHTが生成されにくい状態となるんですね。結果、抜け毛を大幅に減らすことを期待できます。
ただし、プロペシアを始めてフィナステリドが配合されているお薬(プロペシアのジェネリック薬のファイザー)は薬局での対面販売が認められていません。入手をするためには、AGAクリニックで処方をしてもらう必要があります。
また、プロペシアの価格はクリニックによって異なりますので、できるだけ安く手に入れたい方は病院選びに注意するようにしてください。
なお、次の記事では各クリニックでのプロペシアの価格を比較していますので、リーズナブルにプロペシアを入手したい方は、そちらの内容をご参考にして頂ければ幸いです。
プロペシアの値段はどのくらいする?【各AGA病院で比較】
※ 初診料込みで各病院でのプロペシア入手に必要な料金を比較しているため、ごまかしの効かない本当にお得なクリニックが分かります。
■本記事まとめ
血中の男性ホルモン・テストステロンが抜け毛を引き起こすわけではありません。それが毛母細胞付近の還元型酵素5αリダクターゼの作用を受けて、DHTとなることで初めて抜け毛の原因となります。
また、DHTの生成を抑える薬プロペシアは、AGAクリニックで処方してもらえますので、抜け毛の量を抑えたい方は、そちらのお薬を使用することを検討してください。