日本国内ではプロペシアに次いで、薄毛治療用の内服薬としては2例目の認可となった『ザガーロ・カプセル(有効成分)』。2005年にプロペシアが販売開始されて以来の10年ぶりの新薬※登場に期待している方も多いはずです。
※ ザガーロはアボルブという名称で、前立腺肥大を抑える薬としてはすでに病院で処方されているため、厳密には新薬とは言えないかもしれません(ザガーロとアボルブの有効成分は同じもので、パッケージや名称のみ変更している)。しかし、AGA治療を目的としては新たに認可を受けているため、新薬と書かせていただきました。
薬が増えることは患者さんにとっては選択肢が増えるメリットがありますが、人によっては「自分にはどちらが良いのか分からないから、薬選びに悩んでしまう…」という方も多いはずです。
そこで、こちらの記事では既存のAGA治療薬のプロペシアと、新薬のザガーロカプセルを比較をした上で、どんな人にはどちらの薬がおすすめなのかを解説します。
薬選びで悩んでいる方にとっては、参考になる内容ですので、よろしければご覧になってみてください。
プロペシアとの比較表まとめ
それでは早速ですが、プロペシアとザガーロの効果や副作用などの特徴をまとめた比較表を以下に掲載します。
プロペシア | ザガーロ | |
---|---|---|
販売 | MSD社 | グラクソ・スミスクライン社 |
一般名 | フィナステリド | デュタステリド |
有効成分の含量 | 0.2mg、1.0mgの2種類 | 0.1mg、0.5mgの2種類 |
形状 | フィルムコーディング | カプセル |
販売開始 | 2005/12/1 | 未定 (2015年9月に認可済み。 2016年中には販売されると予想) |
主な副作用 | 勃起不全 リビドー(性欲)減退 |
勃起不全 リビドー(性欲)減退 射精障害 |
価格 | 4,200円~※ | 未定 |
期待できる効果 | 抜け毛予防 | 抜け毛予防 |
阻害できる酵素 | Ⅱ型5αリダクターゼのみ | Ⅰ型とⅡ型5αリダクターゼ |
使用禁忌(使えない人) | 女性 未成年(小児) 重度の肝機能障害がある人 5α還元型酵素阻害薬に対して過敏症のある人 |
女性 未成年(小児) 5α還元型酵素阻害薬に対して過敏症のある人 |
※ プロペシアの価格は処方するAGAクリニックによって異なります。各クリニックの値段の比較表については、次の記事で紹介していますので、そちらをご参考にしてください。
どちらも薬も抜け毛の原因となる男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える薬ですので、期待できる効果は抜け毛予防です。では、何が違うのか?と言えば、阻害する酵素の種類です。
DHTは血中の還元型酵素5αリダクターゼにより生成されるものなのですが、その酵素の働きを阻害してDHTを発生させないようにすることが、どちらの薬に共通する働きになります。
ただし、阻害できる酵素はプロペシアはⅠ型のみですが、ザガーロはⅠ型とⅡ型の両方を抑えることができます。そのため、期待できる効果はザガーロの方が高いと考える専門家が多いです。
ちなみにザガーロの臨床試験データでは、デュタステリド0.5mgを1日1回24週間使用した場合、血清中のDHT濃度が90.9%も減少したという非常に高い成果を記録しています※。
※ ザガーロ(有効成分デュタステリド)の臨床試験データについては、次の記事で詳しくご覧いただけます。
【参考】AGA治療薬ザガーロの効果@臨床試験のデータから検証
「それだけ高い効果が出ているんだったらプロペシアじゃなくて、ザガーロを選べば良いんじゃないの?」
たしかに効果だけを見れば、それが合理的な選択です。しかし、効果が高い薬というのはその半面、副作用のリスクも大きくなるものです。そこで、続いてはザガーロとプロペシアの臨床試験での副作用の割合についてチェックしてみましょう。
臨床試験で副作用の件数が多く報告されたのはザガーロ
まずはプロペシア(フィナステリド)の安全性評価試験の結果をお見せします。
■プロペシアの主な副作用(症例数276例)
- リビドー減退…1.1%
- 勃起機能不全…0.7%
- その他(肝機能障害、めまい、発疹など)
副作用は276例中11例(4.0%)となりました。なお、症状として多かったものはリビドー(性欲)減退、勃起機能不全など、男性機能に関わるものです。
では、続いてザガーロ(デュタステリド)の長期臨床試験の結果について確認してみましょう。
■ザガーロの主な副作用(症例数120例)
- 勃起不全…10.8%
- リビドー(性欲)減退…8.3%
- 射精障害…4.2%
- その他(腹痛、鼻咽頭炎など)
治験者自体は同じではありませんし、試験期間も異なるため、正確な比較はできませんが、数値だけを見る限りはザガーロの方が副作用の発生するリスクが高いことがわかります。
最初はプロペシアを試してみて、効果が出なかったらザガーロという選択
本記事でお伝えしてきたように、ザガーロはプロペシアと比較して期待できる効果が高い反面、副作用のリスクも大きくなる薬です。そのため、使用をためらう方も多いはずです。
そこで、これからAGA治療をスタートされる方の場合、まずはプロペシアを試してみるという選択をされてみて、それで思うような効果が得られなかった場合のみザガーロを使用するという選択をされてはいかがでしょう?
それであれば、最初からザガーロを使うよりも副作用の生じるリスクを抑えることができます。
AGAリスク遺伝子検査ならどちらの薬が自分にあっているかがわかる
あと、金銭的に余裕がある場合、治療を始める前にヘアメディカルが聖マリアンナ医科大学と共同開発した『AGAリスク遺伝子検査』を受けてみるのはおすすめです。
こちらの検査はご自身の以下の項目を調べることができるので、その結果から自分にはどちらの薬があっているかを判別することができます。
■AGAリスク遺伝子検査でわかる内容
- アンドロゲンレセプターの発現強度
- 5αリダクターゼⅠ型の発現強度
- 5αリダクターゼⅡ型の発現強度
なお、AGAリスク遺伝子検査は、現在のところヘアメディカルグループのクリニックでしか受けることができません。ヘアメディカルは完全予約制のクリニックのため、検査をご希望の方は、まず下記の公式サイトより無料カウンセリングの予約申込みをしてください。
検査を受ける前にヘアメディカルの口コミや特徴(良い点・悪い点)をチェックした場合には、次の記事をご参照ください。
【参考】薄毛治療ヘアメディカルの口コミ
■本記事のまとめ
臨床試験のデータでプロペシアとザガーロを比較すると、ザガーロの方が期待できる効果は高い反面、副作用のリスクも高くなります。
そのため、できるだけ健康上のリスクを抑えて治療を進めたいのであれば、まずはプロペシアを選択して、それで効果が得られなかったらザガーロを選べば良いでしょう。
なお、自分がどちらの薬を使用するべきかをきちんと確認したい場合には、ヘアメディカルで実施中のAGAリスク遺伝子検査を受けてみるのがおすすめです。