髪の保険『ヘアバンク』って?毛包を冷凍保存して禿げたら培養して再移植!

ヘアバンク

薄毛治療は世界各地で盛んに研究・開発が行われており、その技術は日々着実に進歩しています。

その甲斐もあって、今ではプロペシアやザガーロ、ミノキシジルにも医学的に効果が認められてAGA(男性型脱毛症)の抑制や、発毛に効果がある薬が誕生しています。

そして今薄毛治療界で注目を集めているのが、今ある自分の髪周辺の細胞・器官を活かして治療をする『再生医療』です。

そんな髪の再生医療に関連して『ヘアバンク』と呼ばれるサービスが、イギリスでスタートするというニュースが報道されました。

髪の保険とも呼ばれているこのサービス、本記事ではその内容やかかる費用について詳しく解説します。また日本国内で取り組まれている髪の再生医療についても併せて紹介していますので、最新の薄毛治療に興味がある方はぜひチェックしてください。
参考HairClone

ヘアバンクとはどんなサービス?毛包を冷凍保存して禿げたら培養して再移植

ヘアバンクの博士

『ヘアバンク』のサービスの概要を説明すると、頭皮から毛包を抽出しそれを適切な環境で冷凍保存するというもの。イギリスにある『ヘアクローン社』が発案し、近日中に提供予定のサービスです(サービスの概要動画を以下に掲載)。

このサービスのメリットは、AGAが進行して自分の髪が薄くなってきた時でも元気な状態な髪を冷凍保管してるあるので、それを活かした治療ができるという点にあります。

保管してある毛包を培養・増殖させ、その元気な細胞を移植すれば今ある髪の成長をサポートできるわけです。このような毛髪のバンクは世界でも初の試みとなります。

毛包の培養・増殖なんてことが本当にできるの?

毛包の増殖

私は毛髪診断士の資格を保有しているヘアケアのプロですが、このニュースを聞いてまず疑問に感じたのが「採取した毛包の培養・増殖なんてことが本当にできるのか?」ということでした。

その点について、ヘアクローン社ベッサム・ファージョ博士は次のように回答しています。

「以前も同じようなシステムを考えたことはあったが、培養した毛包がすぐに機能を失ってしまうことにネックとなっていた。しかし最近の研究でその点を克服して、毛包の機能を失うことなく培養・増殖にすることに成功した

これが事実だとしたら、将来禿げるのが心配な方にとっては救世主となるサービスかもしれません。

毛髪自体を再生するわけではなく細胞を増殖して移植する方式

毛包の培養・増殖

ここまでの記事をご覧になって、ヘアバンクを毛包から髪自体を再生するサービスだと思われた方もいるかもしれませんが、詳しく調査するとどうやら違うようでした。

ヘアバンクで増殖するのは髪そのものでは無く、毛包に含まれる『真皮乳頭』という細胞です。

真皮乳頭は毛包の株にあるのですが、毛幹(毛髪)を形成する役割を担っている部分にあたります。薄毛が進行すると真皮乳頭が衰えて極小化するので、ヘアバンクでは増殖させた元気な真皮乳頭を外部から補給してあげようというわけです。

これにより髪を育てる土壌である頭皮自体が若返るので、育毛や発毛につながり薄毛を改善できると考えられています。

気になるヘアバンクの費用(価格)

ヘアバンクの費用

で、気になるのがヘアバンクの費用(価格)が一体いくらするのか?ですよね。

今発表されている予定価格は次の通りでした。

ヘアバンクの予定費用
  • 毛包抽出手術…2,500ポンド(約37万円)
  • 保管料…年間100ポンド(約1万5,000円)
なるほど、決して安い金額ではありません。またこの金額には培養・増殖した真皮乳頭を移植する料金するは含まれていません。

おそらく移植する手術は1,000ポンド(約15万円)以上はするでしょうから、合計すると50万円以上は必要となる高額な手術と考えます。

そのため値段的には自毛植毛手術と同レベルになると考えられます。
参考記事自毛植毛でおすすめのAGAクリニックランキング

自毛植毛は今ある髪を再分配するだけですが、ヘアバンクは再生医療で髪が増える可能性もあるので、移植するだけでは希望する毛量に達しない不安がある方は、ヘアバンクを選ばれる方も多いでしょうね。

日本国内でも理化学研究所の毛包再生の研究が進んでいる

毛髪再生の研究

ヘアバンクを提供するヘアクローン社はイギリスの会社ですが、実は日本国内でも髪の再生医療に関する研究・開発は行われています。

例えば、理化学研究所の多細胞システム形成研究センターの辻孝(つじたかし)先生の研究チームでは、世界初の器官再生医療の実現に向けて毛髪再生医療技術の実用化を目指して、日夜研究に取り組まれています。

ちなみに辻先生のグループでは毛包から再生毛包原基を作って移植し、毛髪を再生させることにマウスレベルではすでに成功しました(2012年)。

予定では2019年に人での臨床試験、2020年には実用化を目指してるということなので、こちらの進展にも注目したいですね。

まとめ

イギリスのヘアクローン社が提供予定のサービス「ヘアバンク」の概要や費用についてご紹介しました。

今後ヘアバンクのように髪の再生医療サービスはどんどん誕生してくると予想できます。日本でも辻先生のチームを始め、毛髪の再生医療に取り組まれているグループもありますので、今後は国内でもこういったサービスが受けられるようになりそうですね。

ただまだ治療を受けるための価格は高額なので、今の時点ではプロペシアやミノキシジルなどの薬を使った治療に、AGAの初期段階で取り組むのが現実的です。

プロペシアであれば、次のページで紹介してるように1ヶ月5,000円以下という安い料金で処方してくれるクリニックもありますからね。
参考記事プロペシア価格を比較