製薬会社のロート製薬がワインなどの含まれる『酒石酸(しゅせきさん)』に発毛促進につながる物質の産生を増加させる働きがあることを発見したと先日(2019年2月)公表しました。
ロート製薬はこの物質を活かして、新たな薄毛治療薬の研究・開発を進めているとのこと。ロート製薬は2018年から育毛・発毛剤市場に進出しており、今回の研究についてもかなり力を入れて取り組んでいると予想できます。
そして新たな薄毛治療薬が登場するかもしれない本ニュースに、期待をしている方も大勢いるでしょう。
そこでこちら記事ではロート製薬が発表した発毛促進物質について、できるだけ限りわかりやすく解説します。
ロートが発表した発毛促進物質はワインやレモンに含まれる
ロートが発表した発毛促進につながるかもしれない『酒石酸』は、ワイン・ぶどう・レモンなどの酸味・苦味のあるものに含まれる物質です。
元々この物質は皮膚を弱酸性保つ働きがあることを知られていました。ロート製薬ではこの酒石酸の皮膚に強い影響を与える点に着目。
試しに頭皮の細胞を培養して、そこに酒石酸をくわえてみたところ、なんと毛髪の成長の促す物質が1.6倍にも増加したのです。
まだ培養した頭皮の細胞にして試験を行えておらず、直接人間の頭皮で臨床試験は人に試した場合の効果はわかりませんが、今後の研究・開発が楽しみなニュースです。
酒石酸とはどんな成分?NHKにも人気朝ドラに登場していた!
『酒石酸』という言葉を初めて耳にした方も多いはずです。
酒石酸はその名前の通り、お酒の『ワイン』と深い関係がある物質。ワインを醸造する際に樽(タル)の中には大量の結晶が付着します。これが酒石。その酒石から発見されたのが酒石酸という物質です。
ちなみにワインの樽や瓶の底にはキラキラの結晶化した酒石酸が付着しているのを見つけることができます。
また酒石酸はNHKの人気朝ドラ『マッサン』にも登場しました。
主人公マッサン(玉山鉄二)が経営するウイスキー会社に「ワインの製造過程で出る酒石酸を軍に納めなさない」と国から命令がくるのです。
実は酒石酸はカリウム、ナトリウムと化合すると『ロッシェル塩』という物質になるのですが、これを利用して音波レーダーのような戦争の兵器を作ることができたのです。
発毛につながるかもしれない物質がレーダーの材料になるなんてびっくりしますよね。
ロート製薬はミノキシジル5%発毛剤『リグロEX5』を発売済み
今回のニュースを見て「ロート製薬って育毛剤や発毛剤を発売してたっけ?」と思ったのではないのでしょうか?
育毛剤や発毛剤と言えば、リアップシリーズの『大正製薬』、サクセスシリーズの『花王』、スカルプDやメディカルミノキ5の『アンファー』などを思い浮かべますが、ロート製薬にヘアケア製品のイメージはおそらく無いはずです。
それもそのはず、ロート製薬が本格的に発毛剤市場に参入したのは2018年。まだそれほど日が経っていません。
しかしすでにミノキシジル5%濃度の発毛剤『リグロEX5』を発売済み。
ちなみにロート製薬は2018年4-12月の連結決算では、純利益が8%増の108億円と発表しました。
その好調の一因を担っているのが、売れ行き好調の発毛剤『リグロEX5』です。ローとしても商品が売れるとわかった育毛・発毛市場に力を入れて取り組んでいくだろうと予想できます。
その矢先に今回の『新発毛促進物質』発見の報道。やはりロート製薬は発毛関連の研究・開発に本気で取り組むのは間違いないようですね。あれだけ大きな企業なので、今後の展開がますます楽しみです。
それから参考までにお伝えしておくと、ロート製薬のリグロEX5にはすでに成分中に『酒石酸』が配合されています(下図の赤線部)。
こちらは有効成分という位置づけではなく、『エタノール』『プロプレングリコール』『1.3-ブチレングリコール』などと同じく添加物扱いですが、もしかしたら育毛・発毛へのアプローチが期待できるかもしれませんね。
まとめ
今回はロート製薬が新たに発見した『発毛促進物質』について解説しました。
まだ皮膚細胞での試験段階のため人間への適用はこれから先のようですが、その技術が製品に応用されるのが今から待ち遠しいですね。
なお現在のところ、厚労省に認可されている発毛促進薬剤はミノキシジルだけです。
今回の技術を応用したロート製薬さんの商品が発売されるまではしばらく時間がかかりそうなので、今の段階では発毛のためにお薬を利用するのであれば、ミノキシジルを活用するのが最善の策でしょう。
ミノキシジルの副作用と効果については、体験者の感想を元にして以下の記事でまとめていますので、使用を考えている方はぜひご覧になってみてください。
【参考】ミノキシジル内服薬の副作用と効果
※ミノキシジルを服用している方の体毛の変化を写真付きで紹介しています。