男性型脱毛症の内服薬としては、約10年ぶりに厚生省から認可(2015年9月認可、2016年6月処方スタート)を受けた「ザガーロカプセル(製造販売:グラクソ・スミスクライン社)」。
これまで使用していたプロペシアやサワイなどのフィナステリド薬ではAGAが改善しなかったという方には、ザガーロの効果に期待している方も多いことでしょう。
ちなみに、ザガーロの約10年前に男性型脱毛症の治療薬として、国内で初の認可を受けがた薬がMSD社が販売している「プロペシア」です。
内科や皮膚科の中にも、プロペシアの処方を始めるクリニックが増えてきているため、名前は聞いたことがあるという方がほとんどかと思います。実際、プロペシアはAGA治療薬としての世界的なシェアは1位であり、国内のクリニックにおいても多くの患者さんから支持を集めている薬です。
なおザガーロとプロペシアの有効成分は、それぞれデュタステリドとフィナステリドという薬剤であり、全く別物のお薬になります。2つがジェネリックの先行医薬品という関係ではありません。
では、異なる薄毛治療薬であるザガーロとプロペシアの2つのお薬ですが、併用をすればより高い薄毛治療の効果を期待できるのでしょうか?
気になる方も多いはずですので、その点について本記事で詳しくは解説します。
ザガーロとプロペシアは似た作用をする薬なので併用はおすすめしない
ザガーロとプロペシアとを併用するべきかについてですが、2つの薬は似た作用をする薬のため、併用することはおすすめしません。似た働きの薬のため、どちらかが片方だけを使えば大丈夫です。
なお、いずれの薬もその働きは毛乳頭細胞内にある「還元型酵素」という物質の働きを阻害することです。この還元型酵素は血中の男性ホルモン・テストステロンを、抜け毛の原因となるジヒドロテストステロンに変化(還元)させます。
つまり、2つの薬はどちらも還元型酵素の働きを抑制して、抜け毛の原因の生成を抑えることを目的としてるんですね。
例えば、風邪を引いて喉の痛みがひどくなったときに、喉の痛みに効く風邪薬を2種類飲んだりなんかしませんよね?それと同じことで、AGAの原因であるジヒドロテストステロンを抑えるのであれば、ザガーロかプロペシアを併用せずに、どちらかに絞って飲めばOKです。
ザガーロとプロペシアの違いは抑える還元型酵素の種類
ではもう少し掘り下げてプロペシアとザガーロに違いについて解説します。まずは次の2つのお薬を比較した表をご覧ください。
■ザガーロとプロペシアの比較
プロペシア | ザガーロ | |
---|---|---|
画像 | ||
有効成分 | フィナステリド | デュタステリド |
薬の種類 | 5α還元酵素Ⅱ型阻害薬 | 5α還元酵素Ⅰ型/Ⅱ型阻害薬 |
区分 | 処方箋医薬品 | 処方箋医薬品 |
効果 | 抜け毛の抑制 | 抜け毛の抑制 |
対象 | 男性のみ | 男性のみ |
ジェネリック | サワイ、ファイザー、クラシエなど | なし |
どちらも薬も期待できる効果は『抜け毛の抑制』であり、男性型脱毛症(AGA)の進行を抑えるための薬です。
また薬局では購入することができず、手にするためには医師の処方箋が必要な『処方箋医薬品』である点も共通しています。
では何が違うのかと言うと、薬が働きかける(阻害する)酵素の種類です(表内の赤字部分)。
体内にある5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型の2種類があるのですが、プロぺシアはそれらの内のⅡ型にしか作用しません。一方でザガーロはⅠ型とⅡ型のどちらの還元型酵素にも働きかけます。これが2つのAGA薬の違いです。
参考までにお伝えすると、Ⅰ型とⅡ型の両方を抑える分ザガーロの方がプロペシアよりも高い効果を期待できると回答する専門家は多いです。ただしその半面、副作用のリスクもザガーロの方が高くなります。
併用するなら働きの違うミノキシジルがおすすめ
それから、プロペシアやザガーロだけでは効果が不安で、何か別のお薬の併用を考えているのであれば、ミノキシジルの使用をおすすめします。
ミノキシジルは『リアップX5プラス(大正製薬)』『リアップジェット(大正製薬)』『メディカルミノキ5(アンファー)』に含まれている成分であり、発毛促進の効果を期待できるお薬です。
プロペシアやザガーロは抜け毛を抑えるための薬でしたが、ミノキシジルは髪を生やすための薬ですので、それらを併用することで抜け毛予防しながら、発毛促進にアプローチするという理想的な治療が可能となります。
なお、プロペシアやザガーロとミノキシジルの併用については、次の記事で詳しく解説していますので、そちらの内容をご参照ください。
【参考】プロペシアとリアップを併用した方が効果を期待できる理由
また薄毛治療を専門とするAGAクリニックではミノキシジルを内服薬として処方してくれます(例えばAGAスキンクリニックやヘアメディカルなど)。
薬の性質上、外用薬として塗布するよりも成分が血管を通して毛乳頭まで伝わりやすい内服薬でミノキシジルを摂取した方がより高い発毛効果を期待できます。
より高い発毛効果を期待できる治療に検討中の方は、外用薬では内服薬としてミノキシジルを活用することも検討してください。
■内服薬としてミノキシジルを処方してくれるAGAクリニック
【2019年版】薄毛治療におすすめのAGA病院ランキング
ザガーロかプロペシアのどちらを使うべきか悩んだらAGAリスク遺伝子検査
併用するならザガーロとミノキシジル、もしくはプロペシアとミノキシジルが良いと前述しましたが、「じゃあ、ザガーロとプロペシアの結局どちらを使えば良いの?」と悩まれる方も多いと思います。
この点についてですが、少しでも値段を抑えたいコスト重視の方にはプロペシアを利用をおすすめします。
プロペシアであれば、初月4千円台から処方をしてくれるAGAスキンクリニックようなクリニックもありますし、サワイやファイザーなどのジェネリックも豊富ですので、治療コストを抑えやすいです。
【参考】AGAスキンクリニックの口コミと評価【発毛実感率が99.4%】
一方、少しくらいコストがかかっても良いから、自分に薄毛にマッチしたお薬を使用したい場合には、ヘアメディカルで受けられるAGA遺伝子リスク検査を受けることをおすすめします。
こちらの検査ではプロペシアとザガーロのどちらの有効成分が、自分の薄毛治療に効果がある可能性が高いかを調べることができます。
検査費用は19,000円必要ですが、自分の症状にマッチした治療を受けたいという方には利用価値は高いです。
なお、AGAリスク遺伝子検査を実際に受けた様子と、その検査結果を次の記事で紹介していますので、この検査についてもっと詳しく知りたい方はそちらの内容をご覧になってみてください。
【参考】AGAリスク遺伝子検査をヘアメディアカルで受けてみた@検査結果を紹介
※ 現在AGAリスク遺伝子検査を受けるられるのは、ヘアメディカル系列のクリニックだけです
今プロペシアで効果を感じられているならザガーロに乗り換える必要はありません
本文中でもお伝えしたように、ザガーロもプロペシアもどちらも『抜け毛の抑制(AGAの進行遅延)』を目的とした、5α還元型酵素阻害薬です。つまり期待できる効果は基本的には同じということになります。
ですので今プロペシアを飲んでいて、効果を実感できていてかつ重篤な副作用を感じていないのなら、そのお薬を続けるのが一番です。
効果が出ているのに、わざわざプロペシアよりも値段が高く、副作用のリスクが高いザガーロに乗り換える必要はありません。
もちろん不安であれば医師に相談するのが一番でしょうが、まともな医師であれば「プロペシアで効果が出ているなら乗り換えなんてせずにこのまま服用を続けましょう」と提案をしてくれるはずですよ。
■本記事のまとめ
ザガーロとプロペシアはどちらも毛乳頭細胞内にある還元型酵素を抑える薬ですので、それらを併用する必要ありません。
併用するのであれば、発毛促進を促すミノキシジルを活用するようにしましょう。
なお外用薬のミノキシジルであればリアップX5がドラッグストアや薬局で販売されていますが、より高い効果を期待できるように内服薬として摂取したい方はAGAスキンクリニックなどの薄毛治療の専門病院であれば処方してくれます。