薄毛の悩みは今よりはるかに昔から多くの男性を悩ませており、紀元前時代のローマの将軍カエサル(英名:シーザー)や、古代ギリシャの哲学者アリストテレスも薄毛に悩んでいたとされいます。
ちなみに、アリストステラスにいたっては、進行する薄毛への対策として、ヤギのおしっこを頭皮にぬっていたとも言われています(もちろん、ヤギの尿は発毛に効果はありませんので、マネはしないでください…)。
それほど昔から我々男性を悩ませていた薄毛・禿げですが、実は研究・開発が本格的に進みだしたのは、最近になってからのことです。
そして、薄毛治療の進展に大きな成果を成果を挙げたと言われている人物がアメリカ人のJ・B・ハミルトンです。彼は1940年代に男性ホルモンと薄毛の関係について、さまざまな臨床試験を行いました。
その試験の結果、ある重要なことも分かったんですね。それは男性ホルモンの量が増えたからと言って、必ずしも抜け毛が進行するとは限らないということでした。
ちなみに、彼が行った実験は次のような内容です。
■臨床試験の内容
薄毛の症状のない男性の睾丸を摘出し、その後に男性ホルモンのテストステロンを注射して、薄毛が進行するかどうかを確認する。
では、臨床試験の結果はどうなったのでしょうか?
結論から言えば、もともと薄毛の症状が無い方に、男性ホルモンを注入しても、薄毛は全く進行しませんでした。つまり、男性ホルモンの量だけが原因で、薄毛が進行がするわけではないということが分かったんですね。
それまでは男性ホルモンが多い人ほど、薄毛になりやすいと考えられていましたので、この試験の結果は薄毛分野において大きな注目を集めました。
テストステロンはDHTに変性することで初めて抜け毛を引き起こす
なお、今では発毛・育毛に関する研究については当時ははるかに進んだため、AGAによる抜け毛の原因が判明しています。その原因となるのは、男性ホルモン・テストステロンから生成される、より活性の強い男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)です。
男性ホルモンのテストステロンは、は毛乳頭細胞付近にある酵素5αリダクターゼの作用を受けて、抜け毛の原因となるDHTへと変性します。
つまり、いくら体内の男性ホルモンの量が多くても、それがDHTへと変性しなければ抜け毛の原因とはならないんですね。
さらに、詳しく説明するとたとえDHTが大量に生成されても、それを受け取るレセプター(受容体)の数が少ない人は、薄毛は発生しにくくなります※。
※ レセプターと抜け毛の関係については次の記事で詳しく解説していますので、そちらをご参考にしください。
DHTの量が多くてもレセプターが少なければ薄毛にならない
そのように、AGAには男性ホルモンや酵素やレセプターなどの、さまざまな要因が絡んでいますので、男性ホルモンが多くても、薄毛になるとは言えないわけです。
そのため、たとえ親が薄毛であったとしても、あなたが禿げるとは限りませんし、その反対にたとえ親が禿げていなくても、あなたが禿げる可能性は十分にあります。
ですから、将来禿げたくないという方は、まずは自分の頭皮の状態を医師に診察してもらった上で、必要があるなら薄毛治療を始められた方が良いでしょう。薄毛治療は始めるのが早ければ早いほど、改善までの時間は短くなりますし、症状がよくなる可能性も高くなりますからね。
なお、どの病院で診察をしてもらえば良いか分からない方は、次の記事でAGAクリニックをまとめて紹介していますので、そちらの内容をチェックしてみてください。
【2015年版】薄毛治療におすすめのAGA病院
■本記事のまとめ
男性ホルモン・テストステロンが多くても、薄毛になるとは限らないということはJ・B・ハミルトンの実験により確認されました。
なお、薄毛の原因となるのはテストステロンが変性することで、生成するDHT(ジヒドロテストステロン)です。