薄毛治療『PRP治療』について井上肇先生にお話を聴いてきた【効果・副作用・HARGとの違い】

PRP治療

薄毛治療の分野にも再生医療の技術が徐々に取り扱われてきています。例えば、細胞の増殖や分化を促進する成長因子を活用した『HARG療法(ハーグ)』や『育毛メソセラピー』などの薄毛治療は再生医療です。

そして、日本初の薄毛治療クリニックであるヘアメディカルグループの『ウィメンズヘルスクリニック東京』と『脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪』でも再生医療の1つである『PRP治療』を受けられるようになったんですね。

クリニック

※ 『ウィメンズヘルスクリニック東京』『脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪』はどちらもが女性向けの薄毛治療クリニックです。

しかし、PRP治療は新しい治療方法なので名前は聞いたことがあっても、「どんな治療をするのか?」「効果はあるの?」「副作用の心配は?」「HARG療法との違いは?」などの疑問を持つ方がたくさんいらっしゃるはずです。

そこで、今回はPRP治療の第一人者である聖マリアンナ医科大学特任教授・井上肇先生に、それらの点について詳しくお話をうかがってきました。

井上肇特任教授の経歴

井上肇特任教授
星薬科大学薬学部卒業
星薬科大学院薬学研究科修了
聖マリアンナ医科大学形成外科学教室助手、講師、準教授
聖マリアンナ医科大学形成外科学内幹細胞再生医学講座 特任教授

PRP治療での薄毛改善を検討している方や、PRP治療について詳しく知りたいという方には参考になる内容ですのでぜひチェックしてみてください。

そもそもPRP療法とはどんな薄毛治療なの?

採血

『PRP療法』とは自分の血液の中から採取した血小板に含まれる『細胞を成長させる因子(成長因子)』を頭皮に注射する治療法です。

PRPとは?

血液中には赤血球、白血球、血小板の3種類の血球があります。それらの内で血小板のみを高濃度に濃縮した状態をPRP(Platelet Rich Plasma)と呼びます。

血小板には細胞の再生を促す成分が多数含まれることが判明しており、それが複合的に体に作用することで皮膚・血管・骨などの再生が促進されます。

では、それを頭皮にPRPを注射すると何が良いのか?というと、頭皮の厚みが増すんですね。

頭皮の厚みが増せば、髪は抜ける際の抵抗が増えるのでぬけが起こりにくくなる上に、土台がしっかりとすること毛根も育ちやすくなります。

結果、髪が抜けにくく育ちやすい環境を作れるので、既存のミノキシジルやフィナステリドなどの薄毛治療法と併用すれば、より高い治療効果を期待できると考えられています。しかも頭皮自体が元気な皮膚に生まれ変わるので、効果の持続時間が長いです。

また、使用するのは自身の血液成分であるため、感染やアレルギーの心配は不要で、外部から栄養を与える・人工毛を植えるような方法とは全く異なります。

つまり、まとめるとPRP治療には次のようなメリットがある薄毛治療法です。

■PRP治療のメリット

  • 治療の安全性
  • 自然な再生
  • 効果の持続
なお、PRP療法と同じく成長因子を頭皮に注射する薄毛治療法『HARG療法(ハーグ)』や『育毛メソラピー』がありますが、それらとの違いについても下記インタビューで井上先生にしっかりとお伺いしてきましたので、ぜひチェックしてみください。

【目次】インタビュー内容まとめ

今回の井上先生への質問内容については以下の目次から確認可能です。

インタビュー全てに目を通すのが難しい方は、各質問内容をクリニックすればその回答のみをチェックできます。

Q1.PRP療法とHARG療法(育毛メソセラピー)とでは期待できる効果が違いますか?

比較

違ってきます。まず知っておいて欲しいのがPRP療法では使用するのは自分の組織であるが、HARG療法(育毛メソセラピーも含む)では他人の組織を使用するという点です。

これまでの研究から、基本的に再生医療に関与するような細胞や増殖因子の割合と含有量は、人それぞれに異なっており恐らくは個人にとって最適なカクテル※の組成があります。

※ カクテルとは頭皮に投与する増殖因子の組み合わせのことです。

そして、その組成から外れると全く効かない、あるいは効果が弱いことがあるんですね(オーダーメイドのスーツとレディメイドのスーツの着心地の違いみたいなものです)。

HARG療法は発毛治療の業界では歴史のある治療法ですから、もちろん有効性が認められている患者さんはいます。しかし、全く効果が見られないという患者さんもいて、ネットの口コミをチェックしても意見は二分されています。

質問者

投与する増殖因子が多ければ良いというものでは無いということでしょうか?

はい。一般的にどんな再生医療技術にも言える事ですが、幹細胞などを刺激して再生を促す増殖因子の割合は多ければ良いというものではなくて、その割合と濃度によっては効かない患者さんがいると考えられています。

質問者

PRP治療では増殖因子の割合がHARG療法とは違ってくるということでしょうか?

そこがPRP治療とHAR療法との典型的な違いです。

PRP療法は自分の血液を濃縮したカクテルを頭皮に投与するため、細胞や増殖因子の割合が自分の体に最も合ったカクテルを使うことができます。

投与するのは自分の体から抽出したものですから、合わないわけがありませんよね。

Q2.PRP治療に副作用はありますか?

井上肇先生

他人の組織を使うHARG療法や育毛メソセラピーと違い、基本的に自分の血液から抽出した組織を自分に戻すものですから、リスクは格段に低くなります。移植による拒絶などの心配は全くございません。

安全性・副作用に関しするトラブルは、ほとんど無いと思っていただいて大丈夫です。

Q3.ミノキシジルやフィナステリドで効果が出なかった人もPRP治療を併用すれば効果を期待できますか?

女性の地肌

過去の臨床研究では効果は出ています。

ミノキシジルとフィナステリド治療によって、髪が生えてきたけど頭打ちになってしまった方を対象にPRP療法を行いました。

その結果、約5-6割の患者様にヘアシャフト(毛幹)が太くなり、1毛包あたりから生える毛の数も増えたんですね。

ですので、お薬だけでは効果を得られなくなったという場合の打開策としても、PRP療法は活用できます。

Q4.投薬治療なしでPRP治療のみでは効果を期待できませんか?

井上肇特任教授

効果を期待できないことは無いと思いますが、私は再生医療という新しい分野の治療法は原則的に第一選択されるべきではないと考えています。

薄毛治療の分野では、すでに実績のあるフィナステリド、ミノキシジル、デュタステリドを用いた治療技術があるため、まずはこの治療技術を優先し、その効果を手助けするという認識でご活用いたいだ方が良いでしょう。

Q5.PRP療法は男性が受けても大丈夫な治療でしょうか?

生え際

もちろん男性でも受けることができます。

現時点でPRP療法を女性に限定している理由は、女性の場合はフィナステリド(プロペシアの有効成分)などの薄毛治療に用いるお薬には制限があるので、治療手段が限られます。そこを補うための手段の1つとしてPRP療法を優先的に提供したいからです。

だから、決して男性に効果がない治療というわけではありません。

Q6.PRP治療での薄毛治療での目的は頭皮の厚さを変えることですか?

井上先生

頭皮の厚くすることで、頭皮環境の質を改善するのが目的ですね。

薄毛で完全に毛包が萎縮しツルツルになっちゃっているような方たちの頭皮をMRIの画像診断をすると、表皮の層と真皮の層と皮下の層、真皮層と皮下組織の厚みが明らかに薄くなっているんですね。

毛包というのは、表皮にだ存在しているわけではなくて、真皮・脂肪層などにもまたがっているので、頭皮に厚みがないと、根がしっかりした毛が生えてきません。

つまり、頭皮の厚みを増して頭皮の質の改善することで、今ある頭髪治療をより効果的にしようというのがわれわれのコンセプトです。

質問者

頭皮に厚みが増すと髪は抜けにくくなるんですか?

毛包がしっかりと根付き、物理的な抵抗も増すので抜け毛の数は減ります。

あと頭皮の厚みが増せば血行もよくなり毛へも栄養がよく届くので、太く・長い毛が育ちやすいです。

質問者

頭皮に厚みが増せば、どうして血行がよくなるのですか?

表皮の下に位置する真皮組織が薄いと、真皮の血行が制限されるので、その分だけ血液の流れる量が減少するんです。

さらに厚みが増して、血行がよくなればミノキシジルのような薬も効きやすくなります。

井上先生へのインタビューは以上となります。PRP治療という最先端の再生医療についてとてもわかりやすくお話をしてくださり、井上先生ありがとうございました。

PRP治療を受けられるクリニックはこちら

PRP治療はヘアメディカルグループの『ウィメンズヘルスクリニック東京』『脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪』の2院で受けることができます。

クリニック

今のところ女性の患者様限定の治療となりますので、お薬だけでは効果を実感できない方や、副作用のリスクができるだけ少ない治療を受けたいという方は受診を検討してみてください。

なお、PRP治療を受けられる上記2クリニックは、次のヘアメディカル公式サイトから無料相談の申し込みが可能です。

kochira ヘアメディカル公式サイトはこちら

※ PRP治療を受けられるのは、ウィメンズヘルスクリニック東京と脇坂ウィメンズヘルスクリニックの二院です。