AGA治療薬として国内では最も多くの利用しているのが、MSD社が販売しているプロペシア(成分名フィナステリド)というお薬です。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドは、日本皮膚科学会が発行している脱毛性診療ガイドラインでも推奨度Aの最高評価を受けていますし、発売開始からすでに10年以上が経過しているので、安心して利用できるという考える人も多いでしょう。
ただ、プロペシアについてネット上でリサーチすると、『プロペシアを飲み続けると体に耐性ができるせいで、続けるほど薄絵が進行しやすくなる』のような書き込みを見かけることがあります。
もし、それが本当なら薬を飲むことを躊躇(ちゅうちょ)する方も出てくるでしょうから、真偽について知っておきたいのは当然のことです。そこで、その点について本記事では詳しく解説します。
プロペシアに耐性があるというエビデンス・証拠はありません
MSD社が公開しているプロペシアのインタビューフォーム※を確認しましたが、この薬を飲むことで体にフィナステリドへの耐性ができるという記述は一切ありませんでした。
※ 処方箋医薬品の添付文書だけでは不十分な情報を補うための資料です。要領(文書内に何を記載するか)は、日本病院薬剤師会が策定しており、これを読めばその医薬品の効果、副作用、安全性などを知ることができます。
また、男性型脱毛診療ガイドライン内でもプロペシアの耐性についての記載は無いです。その他にも、AGA治療関連の論文もチェックしてみましたが、プロペシアと耐性の関係があることを証明しているものはありませんでした。
そのため、プロぺシアを飲み続けると体に耐性ができて効果が無くなるというのは、事実として考えにくいです。
実際、薬の効果を確認するために行われた比較試験では、2年間薬を服用したグループよりも3年間薬を服用したグループの方が、薄毛が改善した人の割合が10%高かったので、飲み続けた方がより改善を期待できます。
飲み続けるほど期待できる効果の度合い(変化)が小さくなることは事実
ではどうして、「プロペシアを飲むと体に耐性ができて効かなくなる」といったウワサが広がったのでしょう?
あくまでも、私の推測にはなりますが、プロペシアは飲み続けると感じられる変化の度合いが徐々に小さくなっていくからだと考えます。
例えば、飲み始めて3ヶ月が経過するくらいまでは、抜け毛が大幅に減少したり、生え際に産毛が目立つようになる場合が多いので、自分で鏡を見ていても、変化を感じやすいです。
また、4ヶ月~6ヶ月の時期は、産毛がしっかりと太くなる場合が多いので、周囲の人が見てもその変化はわかります。
しかし、1年~3年が経過すると、人によっては今までような大きな変化が起こらないため、薬が効かなくなったと感じる方がいるかもしれません。
ですが、それは薬が効いていないわけではありません。たとえ、髪の状態を現状維持をしているだけでも、抜け毛の原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えて、抜け毛を減らすというプロペシアの効果はしっかりと出ていますからね。
たしかに、飲み始めの頃と比較すると、感じられる変化は小さくなっているかもしれませんが、薄毛が進行せずに改善された毛髪が維持されているのであれば、プロペシアは効いていると考えるべきです。
プロペシアの耐性を感じた時に自分の判断でやってはいけないこと
なお、プロペシアの効果が出ないと感じたからと言って、以下のような行為は自己判断では絶対にやってはいけません。
- 薬を飲む量を増やす
- 薬を飲むペースを変更する
- 薬を飲むのをやめる
フィナステリドは大量摂取すると、勃起機能不全や乳房肥大※のような副作用のリスクも高まりますでの、大量摂取にはくれぐれも注意してください。
※ 海外製のフィナステリド錠(プロペシアの有効成分)を個人輸入で購入して利用した結果、副作用で乳房が女性のように膨らんだ事例は次の記事で紹介しています。
おそらく服用していた海外製の薬に、大量のフィナステリドが配合されていためにこのような症状が出たのでしょう。
なお、プロペシアを飲んでいるけれど、効果がなくなってきたと感じたら、一度AGAクリニックの医師に相談するのがおすすめです。
薄毛治療の治療薬は何もプロペシアだけではありません。例えば、銀座総合美容クリニック(通称:銀クリ)では、プロペシア以外にも独自処方したフィナステリド錠やミノキシジル錠、さらには頭皮に直接薬剤を注入する育毛メソセラピーでの治療を受けることができます。
そのようにAGA治療を専門としているクリニックであれば、プロペシア以外にも治療の方法は用意されていますので、あなたの症状を伝えれば最適な改善方法を提案してくれますよ。
■本記事のまとめ
プロペシアは飲み続ける期間が長い人ほど効果が出ている薬のため、飲み続ければ耐性ができるというのは考え辛いです。販売元のMSD社も耐性については関してはアナウンスしていません。
なお、どうしてもプロペシアが効かなくなっていると感じたら、一度AGAクリニックで相談をすることをおすすめします、そうすればプロペシアだけでなく、ミノキシジルやメソセラピーも含めて、最適な方法を提案してくれるでしょう。