最近はビジネス書や学術書をマンガでわかりやすく解説する書籍がブームになっています。例えば、『まんがでわかる7つの習慣』『マンガで読み解く人を動かす』、また学術書で言えば『マンガでわかる薬理学』『マンガでわかる免疫学』なんてのもあります。
このようなマンガで解説する書籍は手に取りやすい(とっつきやすい)だけでなく、内容も頭に入りやすいのでその分野についてこれから学びたい・勉強したいという方にはおすすめの書籍と言えるでしょう。
そして薄毛治療の分野でも、そんなマンガでわかりやすく解説している書籍があることを発見しました。
それが『さらば薄毛、最強の自毛植毛プロジェクト』。著者はあらなみクリニック総院長であり、実際に薄毛治療に従事している荒浪暁彦(あらなみあきひこ)医師です。
今回はその書籍を毛髪診断士の私が読んで内容のまとめ、感想を紹介します。本で紹介されている内容や口コミを知りたい方はぜひチェックしてみてください。
■さらば薄毛、最強の自毛植毛プロジェクトの基本情報
- 著者:荒波 暁彦
- 漫画:岩田やすてる
- 発行:株式会社ワニブックス
- 初版:2016年8月25日
- 価格:900円(税抜き)
湯シャンを成功させるには我慢が大切
ここ数年、ヘアケア業界で少しブームになりつつあるの頭皮・毛髪のケア方法が「湯シャン」です。
これはシャンプーの界面活性剤は頭皮には刺激が強すぎるから髪や頭皮のことを考えると良くない。だからシャンプーなんて使わずに、お湯だけで髪と頭皮を洗いましょうと言うヘアケア方法です。
たしかにラウレス硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなど硫酸系の洗浄剤は、敏感肌で肌の弱い方にとっては多少の刺激にはなるかもしれません。しかし頭皮環境のことや衛生面を考えると、シャンプーを使うべきという専門家(医師や毛髪診断士)の方が多いです。
それにグルタミン酸などの植物由来の合成成分を活用したアミノ酸系シャンプーのように、肌への刺激が穏やかなシャンプーもありますからね。例えば次の記事も紹介した『Balumo(バルモ)』のようなシャンプー。
参考記事【医師監修】ハゲは治る?湯シャンは頭皮に悪い?AGAスキンクリニックの医師に直接聞いてきた
肌への刺激が心配な方はそのようなアミノ酸系シャンプーを使うのが良いです。
本書でも湯シャンのメリットも解説しつつも、洗いあがりが不快で継続するのは難しいということをきちんと伝えている点は良いと感じました。
書籍内でも書かれているように、湯シャンを成功させるためには『不快さ』を耐え続ける我慢が必要です。
フィナステリドだけで髪をフサフサにするのは難しい
日本皮膚科学会が発行する男性型脱毛症の診療ガイドラインでも、推奨度Aと最高評価をされているの内服薬『フィナステリド』。
これはAGA治療薬の中で最も服用されている『プロペシア』や、そのジェネリックの『サワイ』『ファイザー』『クラシエ』などに含まれる有効成分です。
参考記事プロペシアのジェネリックはどれがおすすめ?サワイ・ファイザー・クラシエの3商品を比較
ただし『フィナステリド』は抜け毛を抑える薬のため、これを飲んだだけで髪が生えてくるわけではありません。効果はあくまでも抜け毛の抑制(AGAの進行予防)。そのためフィナステリドを飲んでも髪がフサフサにすることは難しいです。
その点についても書籍内ではきちんと解説されていました。実際、著者が院長を務めるあらなみクリニックでもフィナステリドだけでフサフサ発毛した方は一人もいなかったそうです。
ハーグ療法は本当にデメリットの無い薄毛治療?
書籍の後半では薄毛治療の方法の1つとして『ハーグ療法(HARG)』が紹介されているのですが、デメリットの無い夢の治療のような紹介のされ方だったので、その点は疑問が残りました。
ちなみにハーグ療法とは脂肪幹細胞か抽出した成長因子、各種ビタミン、タンパク質などを配合した『ハーグカクテル』を頭皮下部の毛根に直接注入する薄毛治療法です。
毛母細胞に成長因子が届けば、それが細胞を刺激して細胞分裂を促し、発毛を促進するというのがHARG療法のメカニズムです。
書籍内ではこのハーグ療法を副作用がなく、長期で見れば割安な治療というニュアンスで紹介しています。
たしかに副作用については薬を内服するわけではなく、頭皮に直接薬剤を注入するので副作用のリスクが低いというのはわかります。しかし費用が割安というのは疑問です。
ハーグ療法は安いクリニックでも1回あたりの料金は8万円。その1回で薄毛が完全に治るのなら安いです。しかしハーグ療法もお薬と同じく継続的な治療は必要。ですのでお薬と比べて割安というのは、少し疑問を感じました。
参考記事【2019年版】AGAクリニックのHARG治療の費用比較
たとえHARG療法を活用した薄毛治療であっても、その状態をキープあるいはさらなる発毛を目指すなら基本的には継続治療が必要となるので、その点はご注意ください。
まとめ
今回はマンガで解説する書籍としては珍しい薄毛治療のことを書いた『さらば薄毛、最強の自毛植毛プロジェクト』の感想を紹介しました。
ちなみに本書籍は96頁で値段が900円。正直ボリュームと比べて割高感はあります。
とは言え抜け毛のメカニズムの解説や治療法の説明は、たしかにマンガで見ればわかりやすかったので、活字が苦手でどうしても苦手だけど薄毛治療について知りたいという方には便利な書籍です。