「プロペシアを超える薬が登場したかもしれない!」とAGA・薄毛治療業界で話題となっているお薬『デュタステリド』。今髪のことで気になる方も名前だけは聞いことがあるという方が多いのではないでしょうか?
ちなみに、デュタステリドが含有された「ザガーロ※」は2015年9月に厚生労働省が薄毛治療薬としてすでに正式認可をしており、後は発売を待つばかりの状態になっています。
※ デュタステリドのAGA治療薬としての商品名(一般名)がザガーロとなります。フィナステリドの商品名がプロペシアであるのと同じ関係とお考えください。商品流通後はザガーロという名称で耳にする機会が増えるはずです。海外ではアボダート(下記画像)という商品名ですでに発売がされています。
ただ、現時点ではまだ知名度が低い薬なので、効果や副作用、プロペシアとの違いなどのことを詳しく知りたいという方も多いはずです。そこで、こちらの記事ではそれらの点について、わかりやすく解説します。
デュタステリドを販売しているグラクソ・スミスクラインとは
デュタステリドは、イギリスに本社を置いているグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)が開発をされた薬になります。ミノキシジルやフィナステリドなどの薄毛治療薬のほとんどがアメリカ開発をされていた薬剤でしたので、イギリスのメーカーであることを少し意外に感じる方もいるかもしれませんね。
なお、グラクソ・スミスクラインという社名について、日本人の方はあまり聞いたことがないかもしれませんが、入れ歯のお手入れには活用する「ポリデント」や、入れ歯の安定剤「ポリグリップ」はこちらの会社の商品です。
その他、鎮痛消炎剤「ボルタレン」、風邪薬「コンタック」も現在はグラクソ・スミスクライン※から発売されており、決して無名の薬品メーカーではありません。世界的にも知名度が高い薬剤メーカーの1つです。
※ OTC薬品(薬局で対面販売できる)に関してはグラクソ・スミスクライン系列のグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社が行っています。
デュタステリドとの特徴【プロペシアとの違い】
そもそもデュタステリドとはどんな働きをする薬なのか?についてですが、これは現在薄毛治療の内服薬として最も知名度の高いプロペシア(一般名フィナステリド)と比較すると分かりやすいので、そちらと比べながらご紹介します。
まず、AGAの抜け毛の原因となるのが男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)です。このDHTが毛乳頭細胞内の男性ホルモン受容体(レセプター)と結合することで抜け毛が起こります。
つまり、私たちの抜け毛は男性ホルモンDHTによって引き起こされるわけです。このDHTという物質は、男性ホルモン・テストステロンと血中の還元型酵素5αリダクターゼと結合することで、生まれるホルモンです。
そして、プロペシアの働きは5αリダクターゼの働きを阻害して、DHTを発生を抑えることにあります。そのため、プロペシアを飲めばDHTの発生を抑えられるので、抜け毛も起こりにくくなるというわけです。
デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型のどちらの還元型酵素の抑える
ただし、プロペシアが効果があるのはⅡ型の還元型酵素のみにしか作用しません。実は私たちの体内にⅠ型とⅡ型の5αリダクターゼが存在しており、そのどちらもが抜け毛の原因になる可能性があると言われているんですね。
そのため、Ⅰ型の5αリダクターゼが薄毛の原因となっている方の場合、プロペシアでは治療をすることができません。
しかし、デュタステリドではI型とⅡ型のどちらの5αリダクターゼの働きを抑えることができます。そのため、これまでプロペシアでAGAが改善しなかった方も、お薬でAGA治療をできる可能性が高まってきたわけです。
なお、先日ヘアメディカルを取材した際にも、担当者の方がデュタステリドが配合されたお薬「ザガーロ」について、熱心にお話しされていたので、AGA業界でもたいへん期待がされている治療薬と言えます。
ヘアメディカルで薄毛治療を受ける前に気になるQ&A・全11項目
■ザガーロ(デュタステリド)とプロペシアとの違い
- プロペシア…Ⅱ型の還元型酵素しか抑えられない
- ザガーロ…Ⅰ型とⅡ型の還元型酵素のどちらもを抑えれる
デュタステリドの薄毛治療の効果はどのくらい【プロペシアとの比較】
では、気になるデュタステリドの効果についてですが、プロペシアと比べてどのくらい高いのでしょうか?
それらを2つを比較した臨床試験データが見つけられませんでしたので、あくまで推測での値にはなりますがご紹介します。
先ほどお伝えしたように、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型のどちらの5αリダクターゼのどちらにも働きかける薬です。では、それぞれがどの程度DHTの生成に寄与しているかですが、およその割合は以下のように言われています。
■男性ホルモンDHTを生成する割合
- Ⅰ型還元型酵素…およそ30%~40%
- Ⅱ型還元型酵素…およそ60%~70%
もちろん、上記の値はあくまでも数値上のものですので、必ずしもその効果ができるわけではありません。その点はご理解ください。
気になるデュタステリドの副作用
しかし、それだけ効果を気になる薬であるなら、その半面副作用が起こる可能性も高いのでは?と心配される方も多いはずです。こちらの点についてですが、デュタステリドが配合された前立腺肥大薬「アボルブ」のデータを紹介します。
アボルブの国内臨床試験では、調査した403件の内で44件もの副作用が報告されています。その割合は10.9%です。プロペシアの試験では、副作用の割合は4.0%(276件中11件)でしたので、約2.7倍もの数値です。なお、副作用の種類は次のようなものになります。
■デュタステリドの副作用
- 性欲減退
- 射精障害
- 乳房が大きくなる
- 肝機能の異常
- だるい・吐き気
- 食欲不振
試験を受けた人も規模も違うため、単純に比較をすることはできませんが、数値を見る限りはプロペシアよりも副作用のリスクの可能性が高い薬と言えます。
そのため、初めからデュタステリドを薄毛治療薬として選ぶのではなく、最初はプロペシアを使用してみて、それで効果が得られなかったらデュタステリドに切り替えた方が安全性は高いでしょう。
【2016/3/25 追記】国内の臨床試験について
ザガーロ(有効成分:デュタステリド)の国内での臨床試験のデータを入手しましたので、副作用の詳細や起こった割合について次の記事で紹介しています。
データを見る限りプロペシアと比較して、副作用(勃起不全、リビドーの低下など)が起こる可能性が高いことがわかります。
デュタステリド(ザガーロ)はどこで処方してもらえる?日本での発売時期は?
なお、デュタステリド(商品名ザガーロ)はどこへ行けば処方してもらえるかですが、日本での発売が開始されたらAGAクリニックで処方をしてもらえるようになるでしょう。例えば、本文中でも紹介したヘアメディカルなどです※。
※ ヘアメディカルの口コミ情報は次の記事で確認することができます。150万人以上の治療実績があるAGA治療のパイオニア的存在のクリニックです。
リアップのようにOTC医薬品(薬局やドラッグストアで購入)では販売はまだ認められていませんので、入手するために病院で処方をしてもらうことが必須になります。
では、いつ頃に日本での処方がスタートするのか?についてですが、当初は2015年の11月からザガーロは発売開始とプレスリリースで発表がされていました。しかし、それが延期と発表されて以降、正式な発売時期が決まっていない状態です。
発売が延期になった理由については、グラクソ・スミスクライン社がザガーロを製造を委託している、フランスのキャタレント社のベン・ハイム工場がフランス当局から工場全体として出荷停止の命令を受けたためです。この点について詳しく調べてみると、工場内で生産していたある製品が、別の製品に混入したという指摘を受けたようですね。
なお、こちらの工場ではさまざま薬剤メーカーの薬の生産を行っており、ザガーロを販売しているグラクソ・スミスクライン社もその中の一社だったわけです。そのせいで、今回の発売延期につながりました。薬を製造する工場がストップしてしまっては、発売延期をするしかありませんからね。
決して、ザガーロ自体に問題があって発売延期となった訳ではありませんので、その点はご安心ください。また、発売再開のアナウンスが発表された際には、当サイト内でいち早くお伝えしますので、もうしばらく続報をお待ちいただければ幸いです。おそらく2016年の上半期中には処方がスタートすると思われます。
■本記事のまとめ
デュタステリド(商品名ザガーロ)はⅠ型とⅡ型のどちらの還元型酵素にも働きかけるAGAの治療薬。プロペシアがⅡ型のみにしか効かない薬なので、AGA業界ではプロペシアよりも高い効果を期待できるとして評価が高まっています。
発売開始の時期はまだ決まっていませんが、2015年に厚生労働省の認可が降りましたので、おそらく2016年中にはAGAクリニックでの処方がスタートするでしょう。